2007年09月20日

書評のような事

2歳で漫画を読み始め中学を卒業する頃には、これは読みなさいって学校から勧められるような本は全部読んでいた。家にあった日本文学全集とか百科事典なんかも追いたてられるように読んだ。色々とむさぼり読むうちに(書物に限らず)自分の嗜好をはっきり自覚した。

他人のまわりくどい心理描写に感情移入出来なくて、日本文学全集の中には読破するのに辛いものが少なからずあった。中学時代、国語教材で漱石の「こころ」の解釈をしてる時なんかつまらなすぎて、こっちの「こころ」は月まで遊びに行ってました。(これは「こころ」がつまらないという事じゃなくて、幾つかある解釈を話し合いによってひとつにまとめようとする作業がつまらなかった。)

漱石でも「夢十夜」なんかは面白くて、じっとりした恐怖感があって、びっくり箱レベルのゲスなホラー映画よりよほどコワイし、芥川の寓話的な小説も結構好きだった。

太宰も「走れメロス」が国語の教材になってて、この小説のポイントは何かという教師からの問いに「はにかみ、つまり照れです。」と答え変わり者扱いされた。まー学校的には「友情と約束を守る事の大切さ」が正解なんだろう。この話の結びは命を助けられた友人セリヌンティウスが「君は丸はだかじゃないか」と言った事で分かるが、マッパのメロスに少女が緋色のマントを捧げる(大事な所を隠せという意味だ)くだりがある。ここがクライマックスなのだ。これでいいのだ。

ところでメロスは丸3日走った訳だから3日目の朝から日没まではストリーキング状態であったと推察される。8月24日の日記に書いたが僕もストリーキングには縁がない訳ではない。

そして「勇者は、ひどく赤面した。」で終わっている。この一文を書くために、それまでの話があったのに「友情と約束を守る事の大切さ」ではあまりに拙い。コテコテのイイ話を書いてしまった太宰自身が照れているとも言える。せめて「為政者はさすがに保身の術に長けている」と答えたら石塚先生は60点あげますよ。

他の太宰の本は10歳やそこらで読むもんじゃないと思ったが「人間失格」で主人公が、女性が泣いた時はとにかく甘いモノを食べさせるのが良いと言ってたのが妙に残っていて、大人になったら実践してみたいと思ってたけど…泣いている女性をキャスティングするのもそう簡単ではないので(以下略)……

そのうちにイサムは小説を読まなくなりテレビも見なくなり、スポーツや芸能の話題にも全然ついていけない偏った大人になりました。どっとはらい。
じゃあ今はナニを読んでいるのかという所が今日のお題。
ジャンルで言えばドキュメンタリー、電気物(伝記じゃなくて)、料理、サブカルチャーといったところ。

最近一番心に残った本はナイショだが2番目がこれ、
「世界屠畜紀行 」(単行本) 内澤 旬子 (著) だ。

内容は世界各国の食肉を得るための屠殺場のルポで著者の内澤さんは屠畜という言葉を用いている。強い好奇心を持って真面目にまっすぐな視点から書いている。文章うまいし、イラストも分かり易い。僕は肉も魚も大好きだし、米や麦、野菜も食べる。生きるためだけじゃなくて楽しむために命を頂いているっていうのも自覚してるつもりだ。普通はこの自覚があれば、あえて屠畜に思いを馳せる必要は無いと考えるが、毎日肉を食べながら屠畜は残酷だ、より苦痛の少ない方法を工夫しろなんて大騒ぎしてビジネスにしてる人たちもどうかと思う。

僕はこの本でバリの屠畜業者の言葉が印象に残った。「楽しいからやっている。楽しくない仕事は続けられない。」

先日、仕事帰りの飛行機でこの本を読んでいたらスポーツ新聞を見てたミュージシャン仲間から、「おっ石塚ちゃん相変わらずカワッてるねー。もうオレ位しか話しかけてくれないでしょ(笑)」って言われた。そういえば60代70代のお友達が多いかも。ピーンチ!20代30代の方もまってまーす。でもスポーツ新聞って東スポの見出ししか見たことないなぁ(^_^;)

世界屠畜紀行
世界屠畜紀行



この記事へのコメント
今読んでる本は、と聞かれると僕はドキュメンタリー、サブカル、映画ものの本でしょうね(^_^;)。 youさんの嗜好にだぶりますね〜もろ!  この前はゲテモノ喰いの本を読みましたが、それはそれはという内容でした。(調理法、写真、お味載っていました)カブトムシが(特に幼虫)堆肥くさい味と書いてあったのを読んでから、カブトムシを見る目が変わってしまいました(^^;)。
しかし、世界屠畜紀行とは題名も目をひきますね〜。(興味をもってしまいました)
Posted by まっする at 2007年09月20日 11:43
中3の時、技術家庭科の授業態度が悪く(ボーッとしてただけなのに)罰として一人で数ヶ月間、堆肥掘りをさせられました。週1時間の重労働!堆肥って発酵して熱いんですよ。カブトムシの幼虫がごろごろ出てきて虫好きの友達に売ってました。役得役得。食べようとは思わなかったなぁ。土人系の人たちは食べますよね(^_^;)。
Posted by ユーちゃん at 2007年09月20日 12:36
土人系の方達が食べているのは芋虫系(木の中に住み着いている)で、あれはクリーミーな味だとテレビで現地の方が語っていましたよ。 僕は蚕の蛹を韓国で食べましたが(韓国では一般的食材ですが)煮てあるものでしたのであまりうまいとは・・・(^_^;)。この前は韓国物産のお店(福岡にて)でその缶詰を”ポンテギ”と言いますが、見つけましたが、買う勇気はありませんでした。
Posted by まっする at 2007年09月20日 14:55
意気地なしっ!  なんちゃって(^^)
蚕の蛹は川釣りの餌に使った位で食べてないですね。「あゝ野麦峠」っていう映画の中で、口に放り込むシーンがあったような気がします。イナゴと蜂の子は食しました。
Posted by ユーちゃん at 2007年09月20日 17:02
同じ作品でも視点を変えると、別の解釈ができますね。
ユーさんの走れメロスの解釈は、学習から研究へと一歩進めたものとは言えないでしょうか。私が教師ならそこを評価して80点あげます。

さて「世界屠畜紀行」は、ほんとうに目をひく題名ですね。
人間が生きるためには動物の犠牲が必要なのはわかっているのですが、もし実際に屠場を見たらしばらくは肉を食べられないかもしれません。
Posted by 千葉の齋藤 at 2007年09月20日 23:46
齋藤先生、80点とは!嬉しいです。
Posted by ユーちゃん at 2007年09月21日 12:11
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『世界屠畜紀行』 内澤旬子 著 (解放出版社)
Excerpt:  私は年に1度くらいだが熊料理を食する。食堂のオヤジが自らライフル(散弾ではない)で射止めた熊を。熊の掌などという高級部位にはありつけるわけがなく、私の口に入るのは単なる熊ステーキ。私は野生動物の肉が..
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